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目の病気 Q&A


■糖尿病網膜症(とうにょうびょう・もうまくしょう)

糖尿病網膜症は、糖尿病によって網膜から出血をしたり、網膜が腫れたり、場合によってひどい出血から視力が0.1以下になったり失明をする病気です。大切なのは病気が進んでいる最中も、まったく本人が気付かず目の治療が手後れになる例がたいへん多いということです。内科や眼科で糖尿病網膜症を指摘されたにもかかわらず、目の治療を何も受けてない人がとても多いようです。診療現場の実感では、なぜか患者さん本人が「まあいいだろう」とのんきに構えている事が多いのです。血糖が上がるとヒトはみな楽観的になるのでしょうか?(実は筆者も食事のあとはいろんな悩みを忘れますが...)
[Q] 糖尿病といわれましたが、まだよく見えています。大丈夫ですよね?

[A] だめです!だめです!(...以下5 回くりかえす) 糖尿病のまんま、眼科に何年も行かないのは危険です!糖尿病が指摘されたら,まず一度、眼科に行きましょう。「見えにくくなってから眼科へ行く」のでは遅すぎます。ほとんどの人が糖尿病を指摘されてから最初に眼科に行くまでに,平均2年かかっているそうです。これは眼科医にとっても患者にとっても不幸なことです。眼科に行くまでにすでに網膜症がすすんでいることはよくあります。矯正視力が0.2程度で眼科にやってきて,いろいろ治療はしたけれど結局両目とも矯正視力が0.02くらいになった,という例はしばしばあります。これでは運転もできないし毎日の生活も不便です。糖尿病が指摘されたら、「すぐ」眼科で診察をうけてください。初診のあとは1年後なり,3ヶ月後なり「次はいつ来てください」と眼科医から指導されると思います。
[Q] 糖尿病があるとかならず目が悪くなるのですか?

[A] 必ずではありません。ただしかなり高い確率で、それも糖尿病の経過が長いほど網膜症が発生します。糖尿病の三大合併症は「網膜症」「腎症」「神経障害」であり、なかでも糖尿病網膜症(Diabetic Retinopathy)は日本での中途失明の主な原因になるほど深刻な問題です。ただし糖尿病の程度が強くても目もそれだけ悪くなるとは限りません。
[Q] 目はどんなふうに悪くなるのですか?

[A] 糖尿病が長くなると眼にいくつかの合併症がおこりますが、そのうち最も危険なものが糖尿病網膜症です。糖尿病が進むと、眼底の網膜に最初は本人の気づかないような小さい出血が起こります。そして出血の数がだんだん増えると、白い膜を作ったり、網膜剥離をおこしたり、大出血をおこしたりして網膜症が進行し、治療をしないと最後に失明します。治療法としては内服や注射がありますが、長い間の糖尿病のため血管が悪くなって出血しているため、治療をすればすぐ効果があがるとはかぎりません。大切なことは、糖尿病にかかった場合、必ず眼科で定期的な眼底検査を受けること、そして内科で十分な血糖のコントロールをうけることです。視力が悪くなってから眼科を受診するのでは手遅れになることもあります。
[Q] 糖尿病で失明することがあるのですか?

[A] ここ数年の統計では日本の中途失明(うまれつきでない失明)の原因の一位が糖尿病です。一般に社会的に「失明」と呼ばれる状態は視力が、手の動きが目の前で手を振ればやっとわかる程度の視力「手動弁」や、それ以下の「光覚」「光覚なし」などをさします。糖尿病で網膜症が強く進んだ状態では視力がこの「手動弁」「光覚」にまで下がることがあります。だから決してばかにできない病気といえます。
[Q] 眼科では散瞳をするのですか?

[A] 糖尿病網膜症の検査の時は、よく散瞳をします。散瞳とは薬で瞳孔を開くこと で、瞳孔を暗い部屋に入ったときのように開いたままにします。散瞳薬を点眼して10-20分ほど待ち、それから眼底を調べるため、診察は30分-60分くらいかかります。いちど散瞳をするとその後3時間から6時間くらいはまぶしい状態が続きます。室内でも物がぼやけて見えます。眼科へ行く日はなるべく車やバイクの運転を避けるようにしてください。
[Q] 蛍光眼底撮影という検査をうけるのですか?

[A] 糖尿病網膜症である程度網膜に出血などの変化があるときは、診断のために蛍光眼底撮影 (FAG; fluorescein fundus angiography) という検査をします。少しまぶしいですが痛くない検査です。全部で40分程度かかります。点眼で散瞳を約20分して、座って腕に点滴ルートをつけ、5分程度撮影をします。色素を注射するのでその日は尿が濃い色になり、皮膚の色も多少かわります。その日は車の運転やめましょう。撮影結果は約1週間後にわかります。
[Q] 網膜症の治療はレーザーを当てるのですか?

[A] 網膜にレーザーを当てるのは、「網膜光凝固」(PC; photocoagulation)という治療です。通常は上記の蛍光眼底撮影を行って網膜症の程度を確かめ、必要な場合に網膜光凝固を行います。糖尿病網膜症の進行をくい止めるのが目的ですが、残念ながら視力があがる事はほとんどありません。治療をしても視力は改善しないという点をよく了解してもらってから網膜光凝固を行います。網膜全体で両眼なら週一回通って一回40分,8-10週間程度です。光凝固の最中はチクチクした痛みを感じることもあります。
[Q] 網膜にレーザーを当てたら今より視力がよくなるのですね?

[A] いいえ。ほとんどの場合、視力はあがりません。この点で誤解があるために医師と患者の間で多くのトラブルが起きているようです。眼科医平野は口をすっぱくして説明していますが、糖尿病網膜症の治療は「あくまでも、今より悪くしないよう食い止める治療」です。決して「今よりよく見えるようにする治療」ではありません。また数週間かけて網膜光凝固をして、その結果視力がやや下がることさえあります。それでもこの治療の意義はあったといえるでしょう。完全に失明するという事態を避けるために、ある程度の視力低下はやむを得ません。ご了承ください。
[Q] 網膜光凝固はどんな治療ですか?

[A] 網膜光凝固の様子(下写真)点眼で散瞳をして、診察台に座って目にレンズを当て、0.2秒くらいのレーザーの光を100-200回網膜に照射します。かかる時間は散瞳に30分と光凝固に10分程度です。場合によって自宅で散瞳してから来てもらうこともあります。治療は数週間かけて少しずつ行いますから例えば毎週1度通って2ヶ月半かける、という風になります。

網膜光凝固の様子
網膜光凝固の様子

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